任天堂 再浮上の条件(上) 次なる敵はアップル

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2010/3/30 7:00
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「ニンテンドーDSi」=左=と「iPhone」
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「ニンテンドーDSi」=左=と「iPhone」

 任天堂の業績が踊り場を迎えた。個人消費の低迷で据え置き型ゲーム機「Wii」や、携帯型ゲーム機「ニンテンドーDS」の販売が減少、2010年3月期は6期ぶりの減益となる。ソニー陣営など従来のライバル以外に、米アップルの携帯電話「iPhone(アイフォーン)」など、無料でゲームを楽しめるマルチメディア端末の新興勢も台頭してきた。難局をどう打開するのか。再浮上の条件を探った。

ソニーには勝利

 「ソニーとの最終決戦には勝った。だが、もっとソフトの開発スピードを上げる必要がある」。2月下旬、任天堂の岩田聡社長は、京都市の本社でソフト開発部隊を前にこう訴えた。

 ソニー陣営が年末商戦の目玉にしたのは「プレイステーション(PS)3」向け人気ソフト「ファイナルファンタジー13」で、1月末までの販売本数は約200万本。一方、任天堂の「NewスーパーマリオブラザーズWii」は1000万本を超えた。

 主戦場の米国では昨年12月のPS3の販売が136万台、Wiiは381万台。ソニーとの真っ向勝負には勝った。

「ニンテンドーDSiLL」の発売を発表する任天堂の岩田聡社長(2009年10月29日、大阪市中央区)
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「ニンテンドーDSiLL」の発売を発表する任天堂の岩田聡社長(2009年10月29日、大阪市中央区)

 だが2月、岩田社長に新たな危機感を抱かせる報告が上がっていた。昨年11月に実施した約3000人を対象にしたブランド調査の結果だ。

 主要なDSユーザーの女子高生層で「どちらかと言えばDSよりもアイフォーンを選ぶ」との回答が目立っていた。岩田社長の口癖である「驚きのあるソフト」が減っているとの危惧を裏付けてもいた。

 パソコン、携帯電話など様々な端末に娯楽コンテンツがあふれ、戦場はゲーム業界を越えて広がっている。

 「将来の仮想敵はアップル」。岩田社長は親しいスタッフに、こう漏らしたという。両社はともにタッチパネルなどの使いやすいインターフェース(入力から出力までの反応性・操作性)を売り物とする。学習ソフト、旅行ガイド、簡易アニメや楽曲の制作など、ソフトの品ぞろえの広さでも競合している。

無料ソフトで攻勢

 任天堂の強さはキラーソフトを自社端末のみに供給してゲーム機を買わせ、収益を増幅させるビジネスモデルにあった。このモデルに固執する背景には逸話がある。

 1990年代初頭、ソニーと任天堂はPSの原型となったゲーム機を共同開発する計画を進めていた。だがハードのみを担当するはずのソニーが自前のソフトで試作品を実演したことに当時の山内溥社長が激怒。共同開発はお蔵入りになった。

 有力ソフトを囲い込む戦略は対ソニーでは有効だったが、対アップルではどうか。

 「DSやPSPはもはやクールではない。ソフトの値段は高いし、探しにくい」。昨年9月の販促イベントで、アップルのフィル・シラー上級副社長が、アイフォーンなどをゲーム機としてアピールしていく方針を示し“宣戦布告”。既に無料ゲームを含めたアップル端末向けアプリケーション配信数は30億本に及ぶ。

 アップルはゲームもできる書籍端末「iPad」を4月に発売するなど、無料ソフトを提供するマルチメディア端末の投入を一段と進める。「娯楽を楽しめる端末」に「無料(フリー)経済」をプラスしたアップルの新ブランド戦略に岩田社長はどう挑むのか。

広告に年1000億円

 「アップル端末はハイテク好きの個人向け」「任天堂はゲームが敵視されてきた歴史を変える社会的使命を負った会社。DSが『デジタルデバイド(情報格差)』解消の重要な手段になる」

 対アップルで岩田社長が出した答えは、家族が安心して使える端末として差異化する戦略。家族で任天堂ゲームを遊ぶ場面を中心に、年1000億円規模の広告を出し続けるのもこの一環だ。

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